宮﨑 尚 (写真左)
Hisashi Miyazaki
ニプロシステムソフトウェアエンジニアリング株式会社
DiaCom部 課長
兼 商品開発営業部 課長
石川 拓未 (写真右)
Takumi Ishikawa
株式会社GxP
ビジネスソリューション第一事業本部 第一部
Cross Development Unit アシスタントマネージャ

ソフトウェア開発の他、医療現場への導入プロセス・保守改善も含め透析事業に注力した結果、信頼関係が生まれ、2社の共同出資によりニプロシステムソフトウェアエンジニアリング(ニプロSSE)を設立。顧客の開発チームに出向してプロジェクトを推進するメンバーと、当社チームにて設計・実装の中心的役割を担うメンバーの二人に話を伺った。

まずはじめに、プロジェクトの概要を教えてください。

宮﨑:透析患者様の情報を管理する情報管理システムの開発・導入・保守を、グロースエクスパートナーズとしてはニプロ社と協業という形で継続的に取り組んでいます。全国の医療現場の運用手順を加味して最適だと思われる機能のソフトウェアを提供しており、ご使用いただいた現場の方々のご意見をいただきながら、医療現場に合わせてバージョンアップを行ってソフトをよりよく改善しています。

お二人はそれぞれどのような役割を担当しているのでしょうか?

石川:私は、10名ほどのチームの中で設計・実装といったところをメインに担当しています。他にも医療現場に導入する機器のセットアップや、何かシステム障害があった際には実際に現地にいって対応もしたりしていますね。

宮﨑:もともと私はグロースエクスパートナーズでプロジェクトの全体を統括していたのですが、いまはニプロシステムソフトウェアエンジニアリング(ニプロSSE)に出向をしていて、ニプロ社の開発チームの人間として医療システムのプロジェクト推進を行っています。ニプロ社とグロースエクスパートナーズのチームの間に立って、これまで以上に円滑にプロジェクトを進めるための働きかけをしていくのが私の仕事です。

宮﨑さんは、ニプロシステムソフトウエアエンジニアリング(ニプロSSE)にはいつから出向しているんですか?

宮﨑:ニプロSSEは「医療現場のニーズをより反映させたソフトウェアを専門に開発する会社」として2016年に設立されまして、私は設立から間もなく出向をしています。もともと「医療現場に貢献できる仕事がしたい」という想いがあってグロースエクスパートナーズに入社しましたので、今回出向のお話をいただいた時も、「より医療現場のためになれるシステムがつくれるようになるんじゃないか」と思って、喜んでお引き受けしました。

ニプロ社の事業により深くコミットする体制になっているんですね。
出向してからは、プロジェクトの進め方についてどのような変化を感じていますか?

宮﨑:そうですね。まず実際にニプロ社の立場の人間になったことで、「どういうカタチで物事を推進すれば本当にやりやすいのか」を、これまでの自分は分かってたつもりで分かってなかったんだなと気づきましたね。ニプロ社が抱えている課題を本当の意味で汲み取れきれていなかったということがよく分かりました。いまはニプロSSEとグロースエクスパートナーズのお互いの状況や想いが分かってきて、よりダイレクトに切り込んだお話ができるようになりましたし、それによってコミュニケーションロスもかなり減ってスピード感を持って物事を進められるようになったかなと感じています。

プロジェクトを進めていく上で大切にしていることを教えてください。

石川:全国の医療現場に導入するので、開発時点で色々なことを考慮してつくる必要があって、つくる上では「なんとなく」の部分が一切ないようにしています。一つ重大なバグが起きたらすべての現地に行って直さなくちゃいけなくなりますからね。プログラムだけじゃなくて、ネットワークやデータベースも含めて色んな可能性を考慮して、仮説の設定・検証を繰り返し行っていくのはとても大切だなと思います。他に大切にしていることと言えば、開発している人が納得感を持って取り組めるようにすることですね。そのためにチーム内での意見交換は活発に行っています。

宮﨑:チャットなどのコミュニケーションツールも頻繁に使っているし、会議もよくしているし、確かに意見交換は密に行っているなと思いますね。ツールばかりに頼らず、対面じゃないと伝わりにくいことは膝を突き合わせてメンバー一人ひとりが納得するまで何時間も話をすることもあります。みんな自分の責任範囲をしっかり持ってやっているんですよ。やっていることが医療ということもあるし、だから「お客様のためにこうしたい」とか「医療現場のためにこうしたい」とか、自分の中のこだわりがちゃんとあるんですよね。だから会議をすることも必要で。

石川:そうなんですよね。みんな自立をしていて自分の考えを持っているから、面と向かって意見を出し合うことに意味があるんだと思います。

いま課題に感じていることはありますか?

石川:パッケージソフトを出荷するにあたって、繰り返し綿密なテストを行っているのですが、透析業務が毎回行われているかどうかを確認するのは手動の部分が多いんですよね。効率化のためでもあり、私自身の技術的な興味でもあるんですけど、そこはこれから自動化できるようにしていきたいなと考えています。まだまだできることがたくさんあると思いますので、こういった改善案についてチームのメンバーと意識的に会話をして、改善意識をもっとチーム全体に伝播させていけたらと思っています。

このプロジェクトに取り組むやりがいはどのようなところに感じていますか?

石川:医療現場に行った時には技師の方や看護師の方々ともお話をすることができるので、自分がつくったところや直したところが実際に使いやすいものになっているかを確かめられるのがいいなと思いますね。「ここがよくなりました」とか「ここをもう少し使いやすくしてほしいです」とか、直接感想をいただけるのは単純に嬉しいです。ニプロ社のシステムは医療現場からの声を反映させることをとても大事にしているので、こうして現場でヒアリングできた情報は、チームに共有して次の改善に活かすようにしています。

お客様のパートナーとして医療の業務を支えていくために、これからSIerとしてするべきことは何だとお考えですか?

宮﨑:いまは「医療現場のニーズに応えた声から発信するソフトウェア」が世の中ですごく求められていると考えています。その中でSIerとしては、いま石川の話であったような「医療現場の声をいかにシステムに反映させるか」といった観点がすごく重要だと思いますね。その点に関してはニプロSSEという会社ができたことでより取り組みやすくなりましたし、ニプロ社・ニプロSSE・グロースエクスパートナーズが三位一体で連携して活動できているいまの状況は、すごくいいなと思っています。会社間の距離感がなくなったからこそできることがたくさんあると思いますので、医療現場をよくするためにできることは全部やっていきたいですね。

技術要素
Java
.Net(C#、WFP/XAML)